All The King's Men
 All The King's Men (Under The Dome)…前列はなんとなく左右対称風(キューブリック版「シャイニング」の双子の霊x2?)


 いやあ、楽しかったなぁ…「スティーブン・キング酒場」。

 Live Wireも始まって一ヶ月、楽しさ的には今回がトップなんじゃないだろうか…。最初は、僕が30年来のキング読者だからってだけの感想かとも思ったんですが、全くキング経験皆無のスタッフIくんも、マイクボーイのKくんも、終演後、揃って満面の笑みを浮かべて楽しかったなんて言ってましたから。
 
 好きで好きで仕方がないものを語るとき趣味人が発するオーラって、何の事を言ってるかさっぱりわからないド素人にすら、その充実感を伝染させる力があるんだな、と。なんか旨いものの事を上手に語られると、それ食べたことなくても食欲刺激されるでしょ? そんな感じ。

 とにかく登壇者皆さんが放つ“キング愛”のオーラは、ケタ違いでしたからね。

 例えば、オープニングタイトルで、ワタクシみたいな半可通は、白石さんの紹介に

 1959年生、東京都出身。翻訳家。早稲田大学第一文学部卒業。早川書房に勤務後、翻訳家として独立。ジョン・グリシャム、ネルソン・デミルなどを手がける。キング作品の翻訳は「ローズマダー」「グリーンマイル」「アトランティスのこころ」「ドリームキャッチャー」「骨の袋」「回想のビュイック8」「セル」「リーシーの物語」「悪霊の島」など近年の代表作をほぼ網羅し、今回の「アンダー・ザ・ドーム」が長編担当10作目となる。(「ライディング・ザ・ブレット」を含めれば11作目)

 なんて書くわけですよ。ズラズラ作品名並べて、ドヤ顔して。
 でも、こんな知識はネット検索を頑張れば、誰にでもなんとかなる。

 ところが、“文藝春秋の狂えるキング編集者”永嶋俊一郎氏なんかは、さらっと『あれ?「コロラド・キッド」は?』と来る(笑)。ーー新潮文庫の「ダークタワー」シリーズ全巻集めた人だけが貰えたという超珍品ですよ、これ。ましてそれが白石さんの訳だなんて、よっぽどのマニアでもない限り気がつかない話。でも、そんなトリビアを当たり前のように把握してて。

 この境地まで達しないと、他人に幸福を振りまくほどのレベルには達しないのです(笑)。

 実際トークでも、彼の博覧強記ぶりは凄くて、誰がどの作品を語っても、立て板に水で作品のハイライトシーンがこぼれでてくる。聞けば小学生時代に「シャイニング」でキング作品の洗礼を受け、高校時代に「ミザリー」を原書で読破するような少年だったとのこと。末恐ろしい…というか恐ろしい子がそのまま順調に王道を歩んだというか(笑)。
 その風貌といい、ワタクシは、彼に、新作「アンダー・ザ・ドーム」で活躍する、天才ハッカー小学生“スケアクロウ・ジョー”を重ねあわせて見てしまいましたね。(この日の一張羅としてハードコア・チョコレート謹製の「Redrum」Tシャツを着用してくるセンスといい、見事なネットワークを発揮して奇跡のラインナップを実現した手腕といい、本日のMVPは間違えなくこの人でしょう。)

 そういえば、永嶋さんだけでなく、この日の登壇者の皆さんには、どこかしら「アンダー・ザ・ドーム」の登場人物を彷彿とさせる部分があって、それも面白かったですね。

 あのシュールで深淵な作風とは裏腹に、親しみやすいラフな語り口で作品の隠された意図を解き明かす藤田新策さんには、愛すべき酔っ払いの知恵者“スロッピー・サム”の面影があったし、白石朗さんのジェントルな佇まいはサーストン・マーシャル教授(イベント後のファンとの撮影会での女性支持率の高さも、まさに(笑))、ふらっと客席から登場してくださったMr.モダンホラー風間賢二さんの、ちょっとシニカルでダンディな空気感は、ロメオ・バーピー氏かなぁとか、滝本さんもバーピー系入ってるけど、どっしりした存在感はむしろパーキンス署長? いや、かれこそサーストン教授でも? みたい感じで、どんどん妄想が広がる(笑)。

 読んだ人にしか通じない話かもしれないけれど、きっとそんなあてハメごっこがしたくなるぐらい、今回もキングの描き出した人々はみな個性的で、かつリアルな存在だったからだろうな、と思います。読めばきっと、沢山の知人たちをこの物語のなかに見つけることができるんじゃないでしょうか?

  あ、杉江さん? 
  もちろん町の狂える支配者、ビッグ・ジム・レニーでしょ?(笑)
 (また、オチに使ってしまいました、ごめんなさい)

 いずれにせよ、端から端までみしみしアンコの詰まった鯛焼きみたいな、最高のイベントでした。
 (中身に関しては、これからUSTをご覧になる方のお楽しみなんで、書かずに置きます。)

 本編UST放映の終わった後も、白石さん提供のキングお宝本を賭けたジャンケン大会はあるわ(ね、だから現場来なきゃダメなんですよ(笑))、キング御大の関わったとある超マル秘ビデオは流れるわ、それ見ながら我々はもう次の“酒場シリーズ”の悪だくみを始めるわ(笑)。ホント、アンコがこぼれまくって、大変でした。

 次もやりますからね、楽しみにしててください“ミステリー酒場”シリーズ。
 多分、次は8月。
 また文春の“スケアクロウ・ジョー”永嶋氏大活躍の回になると思われます(笑)
 …と書けば、もう、誰の“酒場”になるかはおわかりですね?

 “暗黒小説界のドストエフスキー”ジェイムズ・エルロイが、最新作「アンダーグラウンドUSA」(仮)をひっさげて、Live Wireに降臨します。

 乞うご期待。



※このイベントの模様は、http://www.go-livewire.com/archive0008.html のアーカイブページに纏めてあるので、会場に来れなかったファンの皆さんは、是非御覧ください(投げ銭もよろしくね(笑))