の砂粒を縦に積み上げる徒労を、「たったひとつの冴えたやり方」と信じて止まない熱意が、人生を迷路遊びにする。──
とはいうものの、密室殺人だの鉄壁のアリバイだの、神への長い道だのに一喜一憂してきた俺たちに、なぜ彼らを笑えようか。

根っこは皆同じ、ほんの僅かな優越感への飢えだ。
誰しも「俺はアンタより遥かにCooolだぜ」と含み笑いをせずには生きていられない。

針小棒大なる遠近感の錯覚、そして隣人嘲笑の避けがたい希求──凡人の魂に巣食う、ささやかな自己肯定のマリアージュが、ひとの世を地獄にしている。